2018年4月27日金曜日

よく見かける「ホーザン」て?

第二種電気工事士の工具を探していると、必ずと言っていい程見かけるのが「ホーザン」というメーカーだ。このホーザンとは、一体どんなメーカーなのか。

ホーザンは、70年以上の歴史を持つ大阪発の老舗工具メーカーだ。よく知られている様に電気工事用の工具のラインナップが充実している。それ以外の分野では、自転車用工具、ピンセット、電子顕微鏡といった製品をラインナップしている。どちらかというと、大きくてパワフルなものよりは小型で精密なものを扱っているイメージが強い。

そんなホーザンは、第二種電気工事士試験向けの工具の製造販売への力を入り方がとにかくすごい。ホーザンの他にも、同じように電気工事士試験用の工具をセットにして販売しているメーカーはある。例えばフジヤやマーベルといったメーカーも試験用の工具セットを発売している。しかしホーザンは、こうした競合メーカーとは受験用製品への力の入り方の次元が違う。例えばホーザンは、実際の工事では使う機会がなく、完全に受験でしか使わない様な小道具までも製造販売している。しかも、そういう小道具もいい加減なものではなく、それなりのきちんとした品質で作っている。ここまでやっているメーカーはホーザンの他には見つからない。

製品のグレード的には高くも低くもなく平均的なところで、価格の設定も決して高くはなく、内容からするとむしろやや安いと感じるぐらいかも知れない。品質は全般的に安定しており、使い勝手にも定評がある。総合的なコストパフォーマンスは工具メーカー全体の中で見ても良い方だろう。仲間たちからも、買って失敗したという話は特に聴いたことが無い。

あえて欠点を言うならば、受験会場や講習会などの会場ではホーザン製工具を使用している受験者があまりにも多いため、名前を書いたり目印を付けておいたりしないと、自分の持ち物と他人の持ち物との見分けが付かなくなってしまうという事ぐらいだ。

どのメーカーの製品を買って良いのか迷ってしまった場合にとりあえずホーザンを買っておこうとか、あるいは工具選びにあまり時間を掛けていられない場合に、とりあえず多くの人が使っているホーザンの工具セットをまるごと買っておこう、なんて考える時もあるだろう。そんな事をしても失敗したと感じさせないのが、ホーザンの良い所だ。

定番のセット。他と比べる事なく大急ぎで工具を一式揃えたいならばこれ。

練習材料も信頼のホーザン。3回ずつ練習しておけば安心。


HOZANを代表すると言っても過言ではない定番のVVFストリッパー。










上のVVFに取り付けて使う。測ったそばからカットできるという優れもの。











本家のパナソニックのプレートはずしキーよりも多機能。











組み立てた配線のチェックができる便利キット。


2018年4月19日木曜日

練習作品のチェックをするには

試験の練習をしていて、出来上がった作品がちゃんと回路としてい機能するかどうかを確認したくなる事はないだろうか。チェックをする事は、思わぬミスや配線の考え方の間違いに気付く事ができて、効果的だ。

ただ、一般的な練習材料のセットを購入しても、回路のチェックをするためのツールまでは含まれていない。そこで、チェックのためのツールを別途用意する必要が生じる。

チェックのツールとして手っ取り早いのは、実物の電球等を取り付け、配線の誤りによる短絡の対策をして、実際にコンセントの電源ににつないでみる事だ。上手く行けば想定通りに電球が点灯したり、スイッチで入/切の操作ができる。失敗すれば、スイッチが想定とは違った挙動をしたり、電球が一向に点かなかったり、最悪の場合は短絡する。もちろんそのために、回路遮断器を適切な位置につないでおくなどの安全対策が必要だ。

しかし実際にこういう方法でチェックを行うには、安全のために一定の資格者に立ち会ってもらう事が必要だ。ひとりで練習していると、そうした資格者に立ち会いを頼む事はなかなか難しい。

そういう人のために、できあがった試験課題のチェックを行うための乾電池式のツールが発売されているのだ。聞いてなるほど、のホーザン製だ。これならば、失敗しても危険がほとんどなく、しっかりチェックができる。

「できているかちゃんとどうか確認できていないけど、多分大丈夫だろう」という練習のスタイルをなんとか改善したい、と思っている人には朗報だ。

手軽な専用チェッカー。乾電池でチェックをするため、安全。免許保持者に観てもらえない場合でも自分ひとりでチェックができる。


2018年4月12日木曜日

偏心ニッパー

第二種電気工事士試験では、例えばリングスリーブの失敗など、失敗箇所の修正に一本持っておくと安心なのがニッパーだ。

そのニッパーには偏心タイプのペンチのように、偏心タイプのニッパーというものがある(偏心ペンチの記事についてはこのページで紹介)。

偏心タイプの良さは、同じ全長の工具と比較した時に、より大きなテコの作用が得られる事により、より小さい握力でより大きい切断力が得られる事だ。工事の現場では、手が疲れにくいとか、何度も繰り返し使用しても手が痛くなりにくいといったメリットがある。

一般的に、力を込めて作業する程、体勢や手元がブレたり、繊細な調整が効きにくくなったりするものだ。ニッパーのように、細かい場所を狙って作業する場合の出番が多い工具では、少ない力で作業ができるというのは、より一層好都合で、便利さが実感できる。

通常のニッパーに比べれば若干価格が高めではあるのだが、試験の合格後に現場でも使いそうだな、なんて感じている人は、試験前に手に入れて、受験にもその使いやすさを活かしてみるのも手ではないだろうか。

良質な刃物の街、燕三条の雄。他社とはひと味違う独創的な良品を生み出し続けるスリーピークス技研。
スリーピークス技研 3.peaks 電工Fニッパ 215mm DN-215



コスパの高さで有名なツノダ。偏心タイプでJISマーク付き。
ツノダ TTC パワー強力ニッパー 偏芯タイプ JIS規格 130mm



VVFケーブルのカットもラクラク、ゆとりの200mm。信頼のオレンジ色グリップ。

フジ矢 電工名人偏芯薄刃ニッパ 200mm





2018年4月6日金曜日

工具の聖地「燕三条」とは

新潟県に燕市・三条市という市がある。そして両市にまたがる燕三条駅という新幹線の駅がある。両方の市は合わせて「燕三条」と呼ばれるひとつのエリアとしてよく知られている。

この燕三条では、伝統的に金属加工の産業が盛んであり、高度な技術と高品質な製品が生み出され、継承されてきた。今日ではこの事が刃物などの金属製の道具を使うプロたちばかりでなく、一般消費者にまでも広く認識され、燕三条ブランドという、地域一帯がブランドとして認められるまでに発展している。

こうした様々な金属加工製品の中には、電気工事の工具も含まれている。電気工事の工具にも品質の良し悪しがあり、それは刃物の切れ味であったり、ブレの無いスムースな可動であったり、加工の精密さや高度と粘りの共存による耐久性を持った素材開発などの製造技術によって左右される。

燕三条の優れた金属加工の技術は、電気工事用の工具の製造においても優位性をもたらしており、燕三条には優れた製品を製造する電気工事用の工具のメーカーが数多くあるのだ。電気工事と関係のあるメーカーには、次のものがある。

  • スリーピークス技研
  • マルト長谷川工作所
  • ツノダ
  • トップ工業
  • 旭金属工業
  • バクマ工業
  • 新潟精機
  • ANEX(兼古製作所)
  • 小林工具
  • 五十嵐プライヤー(現在は新潟県見附市に移転)
農作物等でなく、工業製品に関して生産地にこだわってアイテムを選ぶというのは、ちょっと意外に感じるかも知れないが、例えば窯業や繊維産業など、我が国ではよくある事なのだ。電気工事用の工具をこの「燕三条ブランド」で選ぶという選び方も、大いにアリなのではないだろうか。

VVFケーブルを加工しやすい様に独自に設計されたペンチ。2.0mmの3芯でも楽に切断できる。



偏心構造により握力を効率よく活用できる設計と、強力な切れ味の刃。


JIS規格のリングスリーブ圧着工具に最近参入したツノダ。コスパに優れた低価格で、早くも有力な選択肢に。


JISマークが無いのは、JIS規格を超える高級仕様のため。JISマークが無くてもみんな欲しがる。もはやトップ工業というメーカー名がスタンダード。


2018年4月1日日曜日

高級な「クニペックス」の謎

電気工事の工具を探しているとよく見るのが「クニペックス」というメーカーだ。他のメーカとはひと味違うカラフルなデザインで高価格、というイメージを抱いている人が多いのではないかと思う。いったいどういうメーカーなのだろうか。

クニペックスは、日本でなくドイツのメーカーだ。創業は1882年と、1世紀をゆうに超える歴史がある。創業以来の同族経営、全製品をドイツ国内で生産するなど、会社のプロフィールを見ると、個性的で、しかも品質への強烈なこだわりが見られる。

そのこだわりがまた、高価格になってしまう要因ではある。

ドイツのメーカーなので、クニペックスが作っている工具は、基本的には日本のJIS規格に適合する製品ではない。しかしそれでもこれだけ日本に入ってきて、しかもここまで日本のマーケットで存在感を示せているのだから、日本国内でクニペックスの工具を手にしたユーザーの満足度はそれなりに高いものだと考えられる。

クニペックスの工具が手に入るのは本国ドイツと日本ばかりではない。世界中のほとんどの国で手に入る。世界的中のユーザーから、高い満足度を得ているのだろう。

また、日本のメーカーとは異なる規格やニーズに基づいた生産を行っているが故に、基本的に製品は日本のJIS規格品ではない。そのため日本のメーカーでは代替が効かないという製品が多いという点も、こだわりを持つ愛用者が居る理由のひとつである。電気工事関連以外の分野では、自動車整備などの機械工業向けの工具も取り扱っており、その分野でもやはり品質の高さで一定の人気を得ている。

日本の製品ではどうもイメージ通りの製品がみつからない、なんて時には、「クニペックスだったらあるかも」なんていう探し方もできる、そんなメーカーではないだろうか。

凝った機構のウォーターポンププライヤー。狭い場所でも力を入れて作業しやすい工夫が満載。

日本の工具では見かけないジャンルの工具。モンキーレンチをこれに置き換えるという人も多い。

もはやニッパーの価格帯を逸脱していると言えるが、硬いものでもとにかく良く切れるとの事で、これでも買う人が居る位の逸品。

国内メーカーの強力ペンチとあまり変わらない価格でクニペックスの高品質を体験できる。偏心設計のペンチはは国内メーカー製品であってもどうせJIS規格外なので、クニペックスの品質を初めて試してみたい人に丁度良いのかも。