2018年1月14日日曜日

工具はセットとバラ、どっちがいい?

第二種電気工事士試験の工具、セットとバラのどちらを買うのが良いか?

結論から言うと、どちらもアリだと思う。一概にどちらが良いとは言えず、受験者のタイプによると思う。
  • 手軽に済ませたい人はセット(そのほうが断然ラク)
  • こだわる人はバラ(そのほうが断然楽しい)

もうひとつ言うと、第二種電気工事士試験を受験するだけでなく、実務でも電気工事を行う予定のある人は、多少面倒でもバラで揃える事をお勧めする。小さな違いでも、毎日の様に仕事で使うとなると、使い心地の良し悪しの違いは影響が大きい。また、工具選びをする過程で、工具に関する有用な知識が自然に増える。

それから、 バラで購入する事には、コストを下げられる可能性もある。それまもたメリットだ。まずセットものの工具は割安になっているのかというと、あまり割安ではない。バラで買い揃えた金額の合計とほとんど変わらない。一方で、工具のセールは、まめに探すとあちこちでやっている。そもそも安物で品質が悪いようなものは買わない様に気をつけるべきなのだが、そういう事ではなくて品揃えの入れ替えに伴う処分品やモデルチェンジの型落ち品などで、品質には全く問題のない商品が値引き販売によって安く買えるという事はけっこうある。例えば失業中に受験する人など、「お金は無いけど安いものを探すために手間や時間はかけられる」という人は、手間をかけてそういうセール価格の製品を探し、1種類でも2種類でもセール品の安い金額で手に入れる事ができれば、受験に掛かる費用の節約にもつながるのではないか。

一方、電気工事の実務をする予定など無いのだが、とにかく肩書きとして第二種電気工事士免許を取得しておきたいので試験を受験する、という人の場合には、セットをポンと買ってしまうのがおすすめだ。メーカーごとの工具の違いを細かく知ったところで将来的に約に立つ知識にはならないだろうし、工具の手配に関して節約できた時間を他の事に回す事ができるうえ、わざわざ自分自身で面倒なチェックをしなくても買い忘れや買い間違いをする心配がなく、とにかく手軽だ。

ホーザンの工具セット

ホーザンというメーカーが電気工事士試験の受験用セットを販売しているのは特によく知られている。学校などで一括購入する場合は、このホーザン製のセットを購入する場合が多い。電気工事の分野の工具メーカーとしてはとてもよく知られたメーカーで、製品の品質は十分に信頼の置けるものだ。もちろん、現場でも十分使える品質だ。「迷ったときはホーザンを買えば間違いない」という考え方もできる。ただ、受験者の経済的負担を軽減するために、ケースやテープメジャーなどは、ちゃんとした工具ではなく、試験で必要最低限使える程度の簡易な道具をセットにした商品も販売しているので、その点は注意が必要だ。

ホーザンのセットの製品には、結構な種類のバリエーションがある。例えば

  • ワイヤーストリッパーが付属しているセットと付属していないセット
  • 電工用ドライバーが付属しているセットと、電工用以外のドライバーが付属しているセット

などのバリエーションがある。もちろん、セット内容によって価格も異なる。はじめから価格が高くて内容の充実したセットをまるごと買うという買い方もあれば、反対に、最も安いセットを買って、こだわって厳選したい工具を買い足す、という買い方もある。

ところで、実際のところ、受験会場ではホーザン製のセットの工具を使用している人がとても多い。そのため、もしもホーザン製のセットを購入するのならば、他の人の持ち物と混同しない様にしっかり管理する事が必要だ。自分の道具に名前を記入したり、色を塗ったりして、見分けが付くようにするなどの工夫の仕方もあるだろう。逆に、ホーザン以外の製品を使用する人は多くないので、他人の持ち物とカブりにくい。だからホーザン以外を使えば他人の工具と自分の工具の区別が付きやすいという利点がある。

バラならではの名作工具を選ぶ楽しみ

因みに私自身は、バラで揃えた。工具をたくさんの選択肢の中から選ぶのは、実際に楽しかった。そして工具に対する興味や関心がより湧いて、学習や受験に対する意欲が増えたと感じた。

特に、「この工具ならばこのメーカー」みたいな、老舗メーカーの定番品みたいなものあったりして、そういうものを知るのも楽しかった。例えば、「ドライバーと言えばベッセルのボールグリップ」だとか、「ウォーターポンププライヤーといえばエビ(ロブテックス)のアンギラス」とか、「Fケーブルの切断といえばスリーピークス技研の電工Fペンチ」とか、業界で逸品とされるロングセラーの製品があって、それらの製品づくりの工夫にも色々と感心してしまい、あらためて工具の楽しさというものが実感できた。

ベッセルのボールグリップドライバー
ベッセルのボールグリップドライバー

ロブテックスのアンギラス


スリーピークス技研の電工Fペンチ
スリーピークス技研の電工Fペンチ

在庫切れにはくれぐれも注意

バラでもセットでも、在庫切れには特に注意しよう。電気工事用の工具というのはそこまでマーケットの規模が大きいものではないので、販売者はそんなに多くの在庫を常時抱えているとは限らない。また試験のスケジュールと連動して、需要が集中するタイミングが毎年ある。それは多くの受験者が「そろそろ練習を始めたい」と思うタイミングだ。受験者ごとにバラバラな訳ではなく、多くの受験者が練習を始めたいと思う時期は一時期に集中しがちだ。そしてそれは裏を返せば「そろそろ練習を始めないと試験に間に合わない」という時期でもある。最悪なのは、練習をスタートしたいと思って工具を買おうとしたら在庫切れで、練習をスタートできる時期が遅くなってしまう、という事だ。練習量が足りないと、その分だけ合格を逃してしまう危険が大きくなる。

そんな事の無いように、需要のピークよりも前から、できるだけ早めに工具を準備して、早めに練習をスタートして、十分な練習をして、落ち着いて試験の本番に臨めるようにしておこう。

工具セットカタログ

ホーザン 工具セットDK-28

これが最も一般的なセット。ハサミみたいなタイプのVVFストリッパー入り。ドライバーはプラス・マイナス共に握りやすいボールグリップタイプ。
DK-28のセット内容の説明図


ホーザン 工具セットDK-29

指定工具のみの、最低限のセット。これにお気に入りのVVFケーブルストリッパーを買い足すという手もある。試験中に回して使う機会の殆ど無いマイナスドライバーは、 ボールグリップではなく廉価なものになっている。
DK-29のセット内容の説明図


ホーザン 工具セットDK-26

ストリッパーはガチャッと加工できるP-929が、ペンチはケーブルをラクに切断できるVVFペンチP-59-175がセットされている豪華タイプ。加工作業がかなり省力化できる筈だ。ただしドライバーは+-どちらもボールグリップではない。
DK-26のセット内容の説明図


ツノダ 工具セットTS-E01

コスパが高いツノダのセット。ストリッパー、圧着ペンチ、ウォーターポンププライヤー、ペンチは定評あるツノダ製品で固められている。青いグリップのホーザンに対してこちらは黄色いグリップで、自分の工具の見分けが付きやすい。


マーベル 工具セットMDKS-7VA

カーブ付きの刃でよく切れるMVA-1620が入ったセット。リングスリーブ用圧着工具はコンパクトタイプ。持ち手付きで丈夫なしっかりした工具入れに入っている。試験ばかりでなく実務でも十分使える工具入れだ。

2018年1月11日木曜日

スリーピークス 電工Fペンチ

ペンチは第二種電気工事士試験の指定工具に含まれている。定番は175mmのJISマーク付きのタイプで、受験用工具セットを購入する場合は、だいたいそれが入っている。
しかしペンチは必ずしもJISでなくとも良い。確かにJIS製品には、ハズレが無い。一方、JIS無し製品に関しては、JIS製品よりも安くて粗悪なものにばかり目が行きがちだが、逆にJISよりももっとプレミアムな仕様になっており、その結果JIS規格から外れているという製品もある。
プロの職人が使う工具メーカーがそうしう製品を作っている。例えば、ペンチだとかモンキーレンチなどには、そういう製品が多い。
ペンチ自体はある程度汎用性のある工具で、VVFケーブル以外にも様々なケーブルやコードを切断する事が想定されている。そればかりか、電気工事の用途ばかりとは限らない。なので、JIS規格のペンチは電気工事士技能試験でVVFを加工する作業にも使えるけれども、目一杯そういう作業に最適化されている工具という訳ではない。
一方、電気工事の実務に目を向けると、VVFケーブルは実によく使われている。VVFを加工する作業ばかりが作業の大半を占めるという現場も珍しくはない。そういう実務的なニーズがあるので、JIS規格のペンチよりももっとVVFケーブルに特化して作業をしやすい様に設計された製品も市販されている。そうした製品の中でとても有名なペンチのひとつがこれだ。
第二種電気工事士の実技試験でも、扱うケーブルのほとんどがVVFケーブルな訳なので、このペンチを使うと、JISのペンチを使うよりも、きっと快適に受験できるだろう。
大きな特徴は、JISのペンチは刃が付き合わされる様に閉じるのに対して、このペンチでは刃がハサミの様にすれ違う。JISのペンチの様に挟み切るのでなく、せん断するのである。
この違いにより、 グリップを比較的軽い力で握るだけで、すんなりとケーブルを切断する事ができる。ハサミの様なタイプのVVFケーブルストリッパーを使ってケーブルを切断するとペンチで切断するよりも楽に感じるのは、同様の理屈だ。
例えば、ハサミの様なタイプのVVFケーブルストリッパーではなく、自動式のVA線ストリッパーを使う場合には、ケーブルの切断はペンチで行う事になると思う。その際に、JISのペンチでなくこのペンチを選ぶと、ケーブルの切断も楽に行う事ができる。非常に作業が早く進みそうな組み合わせである。

価格は少々高めだが、検定試験に限らず、実務でもVVFの加工を多く行う人は、持っていて損のないアイテムではないだろうか。

スリーピークス 3.peaks 電工Fペンチ 220mm DF-220

2018年1月10日水曜日

プレートはずしキー

試験にも使えるプレートはずしキー

試験の指定工具ではないが、あると便利な工具がプレートはずしキーだ。
スイッチやコンセントの誤った穴に線を差してしまった時などに引き抜くための専用工具だ。器具を製造しているパナソニックなどで製造しているだけに、使い勝手が良い。

誤った穴に線を差してしまい、それを取り外したい場合、裏面の両端にある細長い穴にキーをしっかりと挿入すると、線を簡単に引き抜くことができる。

マイナスドライバーとの違い


スイッチ、コンセント、引掛けシーリングなどからのキーの引き抜きについては、プレート外しキーだけでなく、5.5mmのマイナスドライバーを差し込んでも同様に外す事は可能である。しかし使い勝手に多少の違いはある。5.5mmのマイナスドライバーで作業する場合、うっかりすると器具を破損する危険がある。マイナスドライバーは、軸の太さがあるため、気にせずにグイっと突っ込むと器具が欠ける場合があるのだ。 万一穴の周りが欠けさせてしまったり、パーツを破損してしまった場合には、試験の本番では欠陥と判定されてしまい、一発不合格の危険もある。

これに対しキーを使用する場合、パーツを破損してしまう危険が少ない。板状になっていて余分な厚みがないので、器具に奥まで突っ込んでも穴の周りの部分を欠けさせてしまう危険がすくなく、また、工具が穴の奥まですんなり入って行きやすい。

もちろん、ノーミスで完成させてしまえば出番が無い工具なのだが、  価格も手頃で、コンパクトなので持ち運びが苦にならない。お守り代わりに持っておくと、より落ち着いた気持ちで作業できるのではないだろうか。

連用取付枠の締め/緩めにも使える


器具から線を外す以外に、プレートはずしキーは連用取付枠を締め付けたり緩めたりするのにも使える。ただ、この作業に関しては力が入りにくいので、プレートはずしキーを使うよりもマイナスドライバーを使った方が、作業は楽だし、安定する。

パナソニック電工 プレートはずしキー
パナソニックのプレートはずしキーの製品写真

東芝ライテック E’s配線器具 NDG4990
東芝ライテックのプレートはずしキーの製品写真

2018年1月9日火曜日

プロの現場でよく使われる工具メーカーのリスト

工具には100円ショップで売っている様な安価なものからプロ用の高級工具まで非常に様々なものがある。

経済性を最優先で考えれば、できるだけ安い工具で間に合わせられないか、とつい考えてしまいがちだが、第二種電気工事士試験の受験にあまりに安価で質の悪いものを使うのは避けた方が良さそうだ。極端に安い工具は、どうしても品質が悪く、加工に失敗してしまうようなものもある。加工に失敗すれば欠陥という判定につながり、翌年再び受験という事になってしまうと、工具台を安く上げた分だけでは見合わなくなってしまう。受験料が掛かるというだけでなく、仕事ができるはずの時間まで受験の準備に取られてしまう。

だからと言って、必要以上にプレミアムな工具をわざわざ買いたくはないし、作業に支障が無い範囲でならば、やはりできるだけ節約したいものだ。工具は度々セールで割引されて売っている事があるし、ひとつひとつの工具には、「このメーカーの製品は他のメーカーの製品に比べてコスパが高い」というものがある事も多い。工具のいわゆる目利きができれば、コスパの良い製品を買い集めたり、セールでお得な製品を上手に買う事ができる。

そうは言っても目利きができるようになるにはある程度の知識が必要で、その知識を得るのには一般的にある程度時間が掛かるものだ。

そんな目利きまではできなくても、ある程度上手に、間違いのない買い物をする方法がある。それは、メーカー名で判断する事だ。ある程度以上の規模や製造技術を持つメーカーにはそれぞれ品質基準があり、作っているどの製品に対しても、だいたい一定した品質のものを作っている。たとえば、「このメーカーのペンチはとても品質が良いが、電工ナイフは粗悪品だ」といった事は起こらない。なので、プロが現場でよく使うメーカーの製品を買っておくようにすれば、品質の悪いものを買って失敗した、という事を防げる。

ただ、業界で長く働いている人でもなければ、電気工事用の工具のメーカー名など、そんなに知らないのではないか。

そこで、電気工事関係の有名工具メーカー名のリストを50音順にして挙げておく。ここにある以外にも質の良い製品を作っているメーカーはあると思うが、ここに挙がっているメーカーの製品ならば少なくとも、十分な品質のものだと考えてもらって良い。工具売り場でスマホに表示させながら買い物してもらっても良いし、アマゾンのようなECサイトで価格の安い順に並べ替え、ここに載っているメーカーの製品で安いものを選ぶ、という使い方もできると思う。


IPS(五十嵐プライヤー)、アーム産業、泉精器製作所、エビ(ロブテックス)、MCC(松坂鉄工所)、エンジニア

クニペックス、KTC、ケイバ(マルト長谷川工作所)、コーケン(山下工業研究所)

サクラトンボ(廣田工具製作所)、スーパーツール、3 Peaks(スリーピークス技研)

タジマ(TJMデザイン)、TASCO、ダービー(廣田工具製作所)、TTC(ツノダ)、デンサン、TONE(トネ)、TOP(トップ工業)、トラスコ中山

ニチフ

ビクター(花園工具)、HIT(東邦工機)、フジ矢、ベッセル、ホーザン

マーベル、ミトロイ(水戸工機)、未来工業、メリー(室本鉄工)

レッキス工業、レノックス

2018年1月8日月曜日

丁度いいドライバーのサイズは

丁度いいサイズのドライバーは、+がNo.2、-が5.5mmで長さは共に75~100mm辺りだ。

+ドライバーのサイズは、器具のネジが決まってるため、No.2の一択である。長さは、あまり奥まった場所のネジを締める事もないので、安定性重視で気持ち短めの75~100mm辺りがちょうど良い。マイナスドライバーは、通常+のNo.2とセットになるのは6mmであるが、あえてひとつ小さい5.5mmにするのがお薦めだ。

例えば間違ってスイッチやコンセントに線を差し込んでしまった時に、プレート外しキーを使うのが理想的ではあるが、もしもプレートはずしキーを持ち込まずに、何とか代用する事ができる。これが6mmだと、少し大き過ぎてしまう。もちろん、連用取付枠を締め付けたり緩めたりするのにも使える。

長さについては、150mm以上の長いものを使っていると先端がブレやすくストレスを感じる。逆に短めの100mm以下のものを使うと、 安定感があって使いやすいと感じるだろう。比べてみることができるなら、その違いが実感できるはずだ。

工事現場に行くと必ず見かけると言っても言いぐらい、それ位売れているドライバー。ボール型のグリップで、握りやすく力が入りやすい。
ベッセル(VESSEL) ボールグリップドライバー +2×150


上のドライバーのマイナス。た色の違いによって見分けが付きやすい。
ベッセル(VESSEL) ボールグリップドライバー -5.5×100

定規を持ち込むという手

受験案内を読むと、指定工具の欄には「スケール」と書かれている。「スケール」と言われると、曖昧ではある。英語を訳すと、定規も巻尺も、はたまた秤もスケールである。そうではあるが、日本の建設業界では一般的に巻尺の事を言う場合がある様な雰囲気がある。なので巻尺と考えておくのが無難だろう。

という事なのだが、敢えてそこに定規もプラスしてみるのもひとつの手だと思う。

私は試験の当日コンベックスを持ち込み、50cmほど引き出してテーブルの手前側の端に置き、そこでケーブルの長さを測りながら作業した。それで十分作業はできていたのだが、うっかりコンベックスの本体に手をぶつけてボトッと落としたりなんかする危険がある。なのでそうならない様に、作業をしている間中気を遣う必要があった。これが仮にコンベックスではなく定規だったりすると、薄くて手が引っかかったりしにくいので、もう少し快適だったのではないかな、持って来れば良かったかな、とその時思った。

ケーブルの長さの測定には、それほどの厳密さは求められない。例えば30cmの定規しか用意していなかったとして、それで60cmのケーブルの長さを図りたい場合でも、ケーブルの端から30cmをまず計って、そこを指でつまんでプラス30cmを測る、という様な図り方で、精度としては十分である。

直尺でもいいと思うし、曲尺なんかだと、荷物としてかさばりはするものの、直尺よりももっと安定して、落とす心配が減らせると思う。ひと工夫として、定規を持ち込むというのはアリではないだろうか。これから受験する人には、検討を勧めたい。


鋼尺の直尺。薄いので、誤って手を引っ掛けにくい。



軽いアルミ製。すべり止め付きで落ちにくそう。5cmおきに数字が強調されているのも便利。


 テーブルの平面にベタッと置けば安定して、誤って落下させる危険が少なそう。

畳まないタイプの電工ナイフ

電工ナイフは指定工具のひとつだ。けれども指定工具の中でそんなに存在感のある工具という感じではない。被覆の剥ぎ取りに使われていたというのも昔の話で、今日では「持っていなくても合格できる」という人さえ居る。

とは言っても、バリができてしまった時に処理したり、人によってはVVRケーブルを加工したりと、何だかんだで使う場面はある。現場ならば、電線を縦に裂いたり、材料のパッケージや段ボール箱を開ける時も出番になる。もっとも、電工ナイフでなくても、普通のカッターナイフでも良いのだが。
 
なんとも微妙な立ち位置の電工ナイフだが、それでもナイフという道具の存在は、技術者にとってある種のお守りというか、技術者の「心」みたいな特別さがあると思う。

なので個人的には、たとえ出番が少なくとも、持っておきたいと思う。そしてどうせ持っておくならば、多少はこだわって、使いやすいものを持っておきたい。

それで、個人的には、電工ナイフには多少のこだわりがあるのだが、そんな中で特におすすめの、折りたたみでないストレート型のものを集めてみた。

折りたたみ式のものにはコンパクトになるというメリットがあるわけだが、しかし電工ナイフ自体がそんなに大きな道具ではない。折り畳めないストレート型だからといって、邪魔になるほどかさばるわけではない。

一方で、ストレート型は、可動部が無い分、ある程度力を入れて使う事ができる。一方で、ブレやグラつきが無いので、繊細な加工をしたい場合にも都合が良い。

電工ナイフを買うなら、ぜひストレート型も選択肢に入れて検討してみてほしい。


このカバーを考えた人は超ナイスアイディア。本体から外さないので紛失の心配が無いうえ、カバーと刃で線を軽く挟んでくるくる回して被覆を剥ぐ事ができる。刃物の品質に定評のあるスリーピークス製。
3.peaks 絶縁電工ナイフ 190mm SK-1


「マック」って、ジャズ・スタンダードの「マック・ザ・ナイフ」と掛けたのかな。カシャッと入る専用ホルダー付き。発売しているのは材料で有名なあの未来工業。

作業を劇的にスピードアップ!機械式のVA線ストリッパ

機械式のVVFケーブルのストリッパを用意しようかどうか、というのは多くの人が迷う所だと思う。

試験に合格するには、ハサミタイプのものがあれば十分ではあるのだが、機械式のストリッパを使うと圧倒的に作業がスピードアップし、手も痛くなりにくい。事前にきちんと調整しておけばコツがいらず、失敗しにくい。

その機能性は大いに魅力的なのだが、ネックとなるのは価格ではないだろうか。他の工具に比べると高額で、圧着工具などよりもなお高額だ。おまけに、持っていなくても試験に合格できている受験者が多いとなると、本当にどうしようかと思ってしまう。

「買い」なのか、「買いじゃない」のか、最近の製品の状況を調べてみた。

製品の種類が意外に豊富だった

昔からベッセルとMCCが有名だった。今日ではどうなのかと、アマゾンで国内有名メーカーの製品について調べてみたところ、これだけのメーカーが発売していた。

ベッセル
MCC
フジ矢
ビクター
マーベル
デンサン
ジャッピー
メリー
ホーザン

まだほかにもあるのかも知れない。こんなにあると思わなかった。中には、カラーリングだけが異なるOEM製品などもあるのだろうけれど、これだけあると、仕様の違いを調べながら、選んで買う事ができる。

思ったほど高くなかった


ひと昔前の記憶で「一万円近い」というイメージがあったが、そこまで高くなかった。アマゾンで売れ筋で5千円台後半ぐらいだ。5千円を下回っているものもあった。決して安いとまでは言えないが、ほかの工具と比べて、メチャクチャ高いというイメージでもない。

意外と買い、かも

費用対効果を考えると、買いなのではないかと思う。電気工事士試験に合格した後、特に実務で工事をしない人は別だが、実務でVVFケーブルの施工をする人なら、あれば確実に役に立つものだと思う。いずれ実務で買うことになるだろう、という状況が見えている人ならば、どうせなら試験よりも前に手に入れてしまって、試験で使い倒しておいたら良いのではないか、と思う。


























腰袋は用意すると便利

例年、公式の受験案内に「工具を入れるための腰ベルトは使用できます。」と書いてある。なので、腰袋を持ち込む事は全く問題が無い。

それで、実際持ち込むかどうかについてだが、私は持ち込む事をお勧めする。

 試験会場では持ち込まない人の方が多いと思うのだが、持ち込む人もそんなに珍しいわけではない。私は持ち込んだ。持ち込んだおかげで、ずいぶん作業がしやすかったと思う。

私は、事前に会場の様子をネットで調べておいた。私が受験した会場は、普段は見本市などを行う大きなホールで、そこに細長い会議室テーブルと折りたたみチェアが並べられた会場だった。「テーブルの奥行きが狭い」という情報が多く見つかった。確かに、私も試験の本番の日には、狭いと思った。うっかり気を抜くと、テーブルの向こう側に工具や材料をポトポト落としてしまいそうな感じだった。

ただ、私は事前にその事を知っていたので、自宅で練習をする時から腰袋を装着し、使用頻度の高い
  • プラスドライバー
  • マイナスドライバー
  • VVFストリッパ
  • ペンチ
  • 圧着機
は、腰袋に差す様にしておいた。細かい事を言うと、 マイナスドライバーはそれほど使わないのだが、プラスドライバーとセットにして差せるようなホルダーを持っていたので、わかりやすいようにそうしておいた。

この方法には、こんな良い事がある。
  • 狭いテーブルの上でも作業スペースが広く取れる
  • 使用頻度の工具をポトポト落とす心配が無い
  • ホルダーや腰袋の定位置を決めて工具をおくことで、道具の持ち替えがスムースにできる

やってみると案外メリットが多いのである。
おまけに、試験の日には胸ポケットのあるシャツを着て、シャープペンシルと目印用の油性マーカーを胸ポケットに入れておく様にした。

ちょっと格好悪い様な気もするけれど、逆に試験場でかっこいいからといって何かいい事があるわけでもない。「格好悪くてもいいから絶対合格したい」という人にはお薦めだ。

ちなみに、どんな腰袋がいいのか、については、個人差があると思うが、そんなに大げさなものでなくても良いと思う。上に書いてある、使用頻度の高い工具だけ差せればとりあ十分だ。普段現場で使っているものがある人はそれで十分だと思うし、試験に合わせて買いたくなってしまった人は、ワンタッチベルトと、ちょっとしたもの1つで十分だと思う。余裕のある人は、ドライバーやペンチをそれぞれの専用ホルダーに分けるようにすれば、さらに作業しやすいだろう。



私が実際に使ったのはコレ。タジマのロングセラー。素材が丈夫で、型くずれせずしっかりしている。そして結構安い。デザインにおかしな威圧感も無いので、お客さんのいる現場でも使いやすいと思う。


初めて腰袋を買う人は、ベルトを買おう。ワンタッチベルトが便利。電工ではお馴染み、安心品質のフジヤ。なぜかベルト関係はちょと安くて狙い目。私も愛用している。