第二種電気工事士試験の工具、セットとバラのどちらを買うのが良いか?
結論から言うと、どちらもアリだと思う。一概にどちらが良いとは言えず、受験者のタイプによると思う。- 手軽に済ませたい人はセット(そのほうが断然ラク)
- こだわる人はバラ(そのほうが断然楽しい)
もうひとつ言うと、第二種電気工事士試験を受験するだけでなく、実務でも電気工事を行う予定のある人は、多少面倒でもバラで揃える事をお勧めする。小さな違いでも、毎日の様に仕事で使うとなると、使い心地の良し悪しの違いは影響が大きい。また、工具選びをする過程で、工具に関する有用な知識が自然に増える。
それから、 バラで購入する事には、コストを下げられる可能性もある。それまもたメリットだ。まずセットものの工具は割安になっているのかというと、あまり割安ではない。バラで買い揃えた金額の合計とほとんど変わらない。一方で、工具のセールは、まめに探すとあちこちでやっている。そもそも安物で品質が悪いようなものは買わない様に気をつけるべきなのだが、そういう事ではなくて品揃えの入れ替えに伴う処分品やモデルチェンジの型落ち品などで、品質には全く問題のない商品が値引き販売によって安く買えるという事はけっこうある。例えば失業中に受験する人など、「お金は無いけど安いものを探すために手間や時間はかけられる」という人は、手間をかけてそういうセール価格の製品を探し、1種類でも2種類でもセール品の安い金額で手に入れる事ができれば、受験に掛かる費用の節約にもつながるのではないか。
一方、電気工事の実務をする予定など無いのだが、とにかく肩書きとして第二種電気工事士免許を取得しておきたいので試験を受験する、という人の場合には、セットをポンと買ってしまうのがおすすめだ。メーカーごとの工具の違いを細かく知ったところで将来的に約に立つ知識にはならないだろうし、工具の手配に関して節約できた時間を他の事に回す事ができるうえ、わざわざ自分自身で面倒なチェックをしなくても買い忘れや買い間違いをする心配がなく、とにかく手軽だ。
ホーザンの工具セット
ホーザンというメーカーが電気工事士試験の受験用セットを販売しているのは特によく知られている。学校などで一括購入する場合は、このホーザン製のセットを購入する場合が多い。電気工事の分野の工具メーカーとしてはとてもよく知られたメーカーで、製品の品質は十分に信頼の置けるものだ。もちろん、現場でも十分使える品質だ。「迷ったときはホーザンを買えば間違いない」という考え方もできる。ただ、受験者の経済的負担を軽減するために、ケースやテープメジャーなどは、ちゃんとした工具ではなく、試験で必要最低限使える程度の簡易な道具をセットにした商品も販売しているので、その点は注意が必要だ。
ホーザンのセットの製品には、結構な種類のバリエーションがある。例えば
- ワイヤーストリッパーが付属しているセットと付属していないセット
- 電工用ドライバーが付属しているセットと、電工用以外のドライバーが付属しているセット
などのバリエーションがある。もちろん、セット内容によって価格も異なる。はじめから価格が高くて内容の充実したセットをまるごと買うという買い方もあれば、反対に、最も安いセットを買って、こだわって厳選したい工具を買い足す、という買い方もある。
ところで、実際のところ、受験会場ではホーザン製のセットの工具を使用している人がとても多い。そのため、もしもホーザン製のセットを購入するのならば、他の人の持ち物と混同しない様にしっかり管理する事が必要だ。自分の道具に名前を記入したり、色を塗ったりして、見分けが付くようにするなどの工夫の仕方もあるだろう。逆に、ホーザン以外の製品を使用する人は多くないので、他人の持ち物とカブりにくい。だからホーザン以外を使えば他人の工具と自分の工具の区別が付きやすいという利点がある。
バラならではの名作工具を選ぶ楽しみ
因みに私自身は、バラで揃えた。工具をたくさんの選択肢の中から選ぶのは、実際に楽しかった。そして工具に対する興味や関心がより湧いて、学習や受験に対する意欲が増えたと感じた。
特に、「この工具ならばこのメーカー」みたいな、老舗メーカーの定番品みたいなものあったりして、そういうものを知るのも楽しかった。例えば、「ドライバーと言えばベッセルのボールグリップ」だとか、「ウォーターポンププライヤーといえばエビ(ロブテックス)のアンギラス」とか、「Fケーブルの切断といえばスリーピークス技研の電工Fペンチ」とか、業界で逸品とされるロングセラーの製品があって、それらの製品づくりの工夫にも色々と感心してしまい、あらためて工具の楽しさというものが実感できた。
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ベッセルのボールグリップドライバー |
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ロブテックスのアンギラス |
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スリーピークス技研の電工Fペンチ |
在庫切れにはくれぐれも注意
バラでもセットでも、在庫切れには特に注意しよう。電気工事用の工具というのはそこまでマーケットの規模が大きいものではないので、販売者はそんなに多くの在庫を常時抱えているとは限らない。また試験のスケジュールと連動して、需要が集中するタイミングが毎年ある。それは多くの受験者が「そろそろ練習を始めたい」と思うタイミングだ。受験者ごとにバラバラな訳ではなく、多くの受験者が練習を始めたいと思う時期は一時期に集中しがちだ。そしてそれは裏を返せば「そろそろ練習を始めないと試験に間に合わない」という時期でもある。最悪なのは、練習をスタートしたいと思って工具を買おうとしたら在庫切れで、練習をスタートできる時期が遅くなってしまう、という事だ。練習量が足りないと、その分だけ合格を逃してしまう危険が大きくなる。
そんな事の無いように、需要のピークよりも前から、できるだけ早めに工具を準備して、早めに練習をスタートして、十分な練習をして、落ち着いて試験の本番に臨めるようにしておこう。