VVFストリッパーといえば、第二種電気工事士の試験では非常によく使う工具なのだが、これまで、ホーザンのP-958とMCCのVS-4Aという2強体制が長く続いてきた。そこへこのツノダのVAS-230はゲームチェンジャーとなるポテンシャルをも秘めた、かなりの良品である事が分かった。
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写真:ツノダ公式サイトより |
機能
VAS-230で可能な作業は、
- 電線の切断
- シースの剥ぎ取り(1.6mm2芯/2.0mm2芯/1.6mm3/2.0mm3芯)
- 芯線の被覆の剥ぎ取り(1.6mm2芯/2.0mm2芯/1.6mm3/2.0mm3芯)
- ケーブル先端の輪づくり
- 長さの測定
サイズと重量
- 全長 238mm
- 重量 220mm
注目すべきポイント
細かい部分について見ていくと、後発メーカーが満を持して投入した新製品であるだけに、P-958やVS-4Aと比べたときに弱点らしい弱点が見受けられない。逆に細かい点が先行する2製品よりもよくできている。具体的には、
- 両面にスケールが付いている
- バネが外側に突出していない
- グリップにツバがなく、その代わり指の位置が決まりやすいように凹凸をつけてある
という部分だ。
両面にスケールが付いている点に関してVAS-230を評価できるポイントは、特にP-958に比べて使いやすいという点だ。P-958は、片面には工具の機能を示すアイコンが、裏側の面にはスケールが描いてある。それらはどちらも同じ色で描かれていて、パッと見て見分けが付きづらい。スケールを使おうと思ったら裏側でした、みたいなトラップによく引っかかってしまう。VS-4Aはまた違っていて、アイコンもスケールもすべて片側の面に集めてある。これだと、「何か描いてある方」を見ればそちらの面にスケールがあるので、見分けが付きやすくて、P-958に比べて地味に使いやすいのだ。ではVAS-230はどうなっているのかというと、どちらの面にもスケールが描いてあって、裏表関係なく使えるという、これまた便利な仕様になっている。ただ、両面に描かれているスケールが同じではなく、ちょっと違う。片側のスケールがもう片側に比べてスカスカになっている。二種電気工事士試験にはどちらの面のスケールでも対応できるのだが、これを両面とも全く同じ様に描いておいてくれると、なお一層使いやすくなる筈だ。ここに関しては今後の改良に期待したい。
バネに関しては、P-958もVS-4Aも、板バネが突出したタイプだった。その突出した部分に物が引っ掛かりやすいというのは弱点だった。しかしこのVAS-230はバネが突出しない様に形状が工夫されている。P-958やVS-4Aのバネの弱点を確実に意識したうえでの設計ではないかと考えられる。
グリップの形状に関しては、VS-4Aのグリップには、P-958には無いような大きめのツバがあり、それによって握りの定位置が決まりやすくなっている。しかし他方ではそのツバが工具差しや腰袋のフチと干渉して収納しにくいという欠点にもなっていた。VAS-230はというと、ツバは無いながら、グリップに凹凸を付ける事で、工具差しや腰袋のフチへの干渉を避けながらも、握りの定位置が決まりやすい様になっている。
価格
VAS-230はまだ発売直後という事もあり、販売価格の変動が激しい。もう少し流通の状況が落ち着いてきたら、コスパの高さで定評のあるツノダであるだけに、P-958やVS-4Aより安い販売価格に落ち着く事も期待できる。
第二種電気工事士の受験向けの工具では、久々にインパクトのある新製品のリリースだ。圧着工具、そして今回登場のVVFストリッパーVAS-230と、相変わらずコスパの高い製品を次々とリリースするツノダから目が離せない。
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ツノダ(Tsunoda) VVFストリッパー VAS-230 |