2018年2月21日水曜日

マルト長谷川工作所 ケイバ(KEIBA) ワイヤーストリッパー V.V.F.ケイバ・プロフェッショナル

その名の通りVVFケーブルのストリッパーである。

ぱっと見から、唯一無二というか、他のメーカーの類似品が見当たらない、個性的な形だ。






全長170mmとコンパクトなサイズで、ケーブルの切断機能は無く、被覆の剥ぎ取り専用だ。シースを剥くための刃が一直線なのが個性的だ。シースは刃で切るという発想ではなく、切断線の大部分に切り込みを入れたら、残りの僅かにつながっている部分は引っ張ってちぎるという発想だ。ただむやみにその作業を行おうとすればかなり力任せな加工だ。しかしそうはならない。先にシースに縦裂きをするのだ。先に縦裂きをしてから横向きの切込みを入れ、引き剥がすという手順がメーカーの推奨する手順だ。その縦裂きが丁度良い深さで安定して行えるように、縦裂き専用の刃とガイドが付いている。


メーカーサイトより



試験で人気のホーザンやMCC製のストリッパーで3芯の線の剥ぎ取りをする場合、2芯の線よりも力が必要になる。この製品では2本3本とまとまった線を1本ずつにほぐす事で、軽い力で簡単に引きちぎりながら剥ぎ取るという加工方法なのだ。

この加工方法は、実は現場ではよく行われている。試験の時は、それほど長くシースを剥ぎ取る作業は無いのだが、現場で長くシースを剥ぎ取る時は、芯線の中間を狙ってシースを縦に裂くという作業を多くの人が行っていると思う。こういう作業に慣れている人には、親しみやすい原理だと思う。

また、刃が一直線なのは、ケーブル断面の形にあわせた円弧状の刃よりも、研ぎやすくて切れ味が安定していそうにも見える。また、力加減を調節すれば、VVFケーブルに限らず、他の種類の電線の加工にも汎用性がありそうだ。1本で色々使い回しが効くとなると、全長170mmというコンパクトな外観と相まって、現場で持ち歩く工具を減らすのには好都合だ。

造りの精密さや刃の切れ味も素晴らしい。北米を中心に海外でもその名を知られるおよそ100年続く燕三条の老舗によるマルト長谷川工業所の製品であるだけに、信頼性も十分だ。

市販の実技試験対策の教科書には載っていない加工にチャレンジする事にはなるが、既に現場で色々な加工作業を経験している人や、試験の合格後、現場での使いやすさを見据えた人には、良き相棒になるかもしれない。




2018年2月12日月曜日

ツールロール

セットで工具を購入した場合、ケースも含まれているのがほとんどだ。しかしバラで購入した場合は、ケースも自分の好きなケースを選ぶ事ができる。スーパーのビニール袋でも良いのだが、 工具の多くは重くて固い鉄製でゴツゴツと尖っているので、できればもう少ししっかりしたケースに収納したい。また、使ったら毎回同じ場所に戻してしまうという事は、作業のロスを軽減でき、作業のペースの安定にも貢献する。練習時から本番と同じケースを使うことに慣れておくと、心理的な安心感も持てる。


第二種電気工事士の実技試験では、それ程多くの工具を使うわけではないので、小型のケースで十分だ。小型のケースにも色々あるが、今日紹介するのはツールロールというタイプの工具ケースだ。

 ツールロールは、細長いポケットが帯状にたくさん縫いつけられた布製のケースだ。収納するときはロール状に丸めて、出し入れするときには伸ばして使う。

ほとんどの受験者は、工具入れを直接手に持って試験会場まで移動するというよりは、普通のバッグの中に工具ケースを入れて試験会場に行くと思う。ツールロールは、工具ひとつひとつを個別のポケットに納める様に収納するので、バッグの内側の生地やバッグに入れた文房具類などのほかの荷物を傷めにくいし、工具同士がガチャガチャとぶつかって傷ついたり、あるいは大きな音が出るのを防いでくれる。試験の機会にひとつ手に入れておくと、その後も少量の工具を運ぶ際に役に立つ機会もあるだろう。個人的にはお勧めだ。

私もこれを試験の本番で使った。リングスリーブの圧着工具がビッタリ入るジャストサイズ。


安定のホーザン。シックな黒一色。


無駄のない少なめのポケット。持ち込む工具が少なめの人に。


タイプの異なるポケットが付いた、マルチな収納力。