2018年9月27日木曜日

ハンマー

指定工具に含まれていないハンマーの話です。むしろ、試験の本番には持ち込まない方が良いと言えるかも知れません。うっかり誤って使えば致命傷を招きかねません。しかし、練習をするときには1本ハンマーを持っておくと良いと思います。

ハンマーを何に使うのかというと、アウトレットボックスの穴を打ち抜く(ノックアウトする)のに使います。しかし、気をつけるべきは、試験本番の施工条件です。例年、アウトレットボックスの穴は支給された時点で既に打ち抜き済みの穴のみを使用するという条件が示されています。この条件に反してうっかり自分で打ち抜いてしまったりすると、一発不合格となる危険性もあります。受検案内のほうではこの事には特に言及していないので、今ここで知った人はラッキーなのでそのまま覚えておくと良いと思います。

この様に試験の本番ではやってはいけないノックアウトの加工ですが、 練習となると話が変わってきます。練習用の材料としてアウトレットボックスを購入すると、通常はノックアウト部分が全く打ち抜かれていない状態で納品されてきます。当然、そのままでは練習ができませんので自分で打ち抜く加工が必要です。

ノックダウンの打ち抜き方ですが、こうしなければならないという作業方法が特にあるわけではありません。とにかく、作業の安全性や仕上がりに問題なく切り込みの入った部分を打ち抜きさえすれば大丈夫です。実際に色々な方法で穴を開ける人がいますが、中でも比較的多くの人が行う方法は、マイナスドライバーをノミ代わりに使って、ハンマー等で叩いて打ち抜く方法です。マイナスドライバーは垂直に近い角度にして、先端はノックダウンで切り離したい部分にぴったりと当てた状態でブレない様にしっかり保持します。その状態でグリップをハンマー等でコツンと叩けば、それほど強い力で叩かなくても、スコンとノックアウトできます。

ノミの様に叩くので、貫通ドライバーなどを使えばもちろん作業がしやすいでしょう。しかしそこまで強い力で叩く訳ではないので、必ずしも貫通ドライバーを用意しなくてもよく、電工用のボールグリップドライバーなどであれば問題ありません。その辺りは個人の好みで考えて大丈夫です。また、叩く側のハンマーも、力強く叩ける鋼製のハンマーや玄能を使っても良いと思いますし、ドライバーを傷めにくいゴムハンマーや木槌やプラスチックハンマーを使っても良います。中にはウォーターポンププライヤーなどの重い工具で叩けば良いという人も居るのですが、叩く側の工具も、ドライバーのグリップも傷みそうなので、個人的には抵抗があります。

とりあえず、試験の本番で使いはしないでしょうが、練習用のアウトレットボックスをノックアウトするために、1本あると良いと思います。

その名も「電工ハンマー」というこんなハンマーがある。天井裏でよく使うW3/8(ウィット3分)のレンチがグリップに組み込まれている。



大工さんにはおなじみ、定番の八角玄能。八角玄能は、狭い隙間などで横打ちできるのが強み。木下地へのステップルの打ち付けなど、木質系の部分でのやや細かい作業に適した60匁(225g)。


安心して叩けるゴムハンマー。現場では、架台の組み立てなどにも。



ベッセルのボールグリップドライバーの貫通タイプ。これならば間違いなし。

2018年9月3日月曜日

ケーブルカッター

第二種電気工事士の実技試験では、それほど太いケーブルを使わない。しかしそうは言っても、試験本番の直前に繰り返し追い込みの練習をしていて、何度も配線や加工の作業を続けていると、手に痛みや疲れを感じて来るものだ。特に3芯VVFケーブルや2.0のVVFケーブルの切断は、手へのダメージが蓄積しやすい作業ではないだろうか。

受験指導者の中には、VVFケーブルの切断にあたっては、今もなお、JISのペンチを使って切断せよ、という伝統に則った教え方をしている人も居るようだ。「ペンチを使ってこんな事もできない様では一人前じゃない」みたいな事をすぐに言いたがるのは従来わが国にありがちなひとつの風潮であった。しかし、2.0mmのVVFのさらに3芯ともなると、ペンチを使って切断する工程はさすがにひと苦労だというのが多くの人の本音ではないだろうか。


正直こういうどうでもいい部分でわざわざ苦労して、受験対策中の余計なストレスを増やすような事は、できる限り回避したいものだ。こんな時にちょうど役立つ工具に、ケーブルカッターというものがある。なにも手が痛いのを我慢してペンチで作業しなくたって、早く品質よく配線が完成すれば、試験にも合格するし現場での実務でもOKなのだ。色々な考え方をする人が居るとは思うが、このサイトは、ペンチ以外に快適に作業できる工具があるのなら、むしろそれを使って作業すれば良いではないか、という考え方だ。

一般的なペンチでVVFケーブルを切断する仕組みは、刃と刃をぴったりと突きつける様にして、押し切る様にして切る。一方、ケーブルカッターは、ハサミの様にすれ違う一対の刃によってせん断して切る。これらの切断のメカニズムの違いで、工具を扱う手に掛かる負担も異なっている。一般的には、ケーブルカッターの様にせん断して切る工具のほうが、手への負担がだいぶ小さい。

ケーブルカッターと同様にせん断する方式でケーブルを切断するのがホーザンのP-958のようなVVFストリッパーだ。この種のストリッパーを試験で使用する人は、ケーブルを切断する時にペンチでなくストリッパーを使うと、手への負担が少なく、楽に切断できる。

しかしこの様なストリッパーを使わず、例えばベッセルのプロコンなどの、機械式のVA線ストリッパー(ガチャガチャと動くあの便利なタイプ)を使おうと考えている人などの場合はどうしたら良いだろうか。P-958の様なストリッパーを用意してしまっても良いのだが、それなりに価格が高いので、費用の負担が増えてしまう。そこでケーブルカッターを使う事をおすすめする。P-958の様な多機能なストリッパーと比べれば、ケーブルカッターの方が安価で手に入る。

試験直前の追い込みでたくさん練習する場合などは、ワイヤーストリッパーを使うという選択肢も予め考慮しておくと良いだろう。


ベンチでも切れ味に定評があるフジ矢は、ケーブルストリッパーでも安定の切れ味。


低価格ながら、信頼の燕三条クオリティ。コスパで選ぶならツノダ。



あまり他のメーカーとカブらない緑色のグリップは、他人の道具と見分けが付きやすい。こだわりのエンジニア。