2019年6月26日水曜日

個性的な高級電工ナイフ デンサンDK-670A


大きなリング状の部分のデザインが印象的なナイフだ。この穴はスパイダルコの様に刃の開閉に使うためのものではないらしい。確かに、穴の中心が開閉のヒンジの中心なので、開閉に使うものではなさそうだ。メーカーの公式カタログには特に言及が無いが、この大きな径のヒンジのおかげで、ブレの少ない安定した開閉に一役買っている気がする。
さらにこの穴は収納時にフックに掛けられるので便利だというユーザーの声もある。
デザインはさておき、ナイフとしての基本性能に関してはかなりしっかりと作られている様だ。刃を開くと自動的にロックされ、グラつきを防ぐ機構がある。
刃はアウトドアナイフ等でもよく見られるホローグラインドだ。ホローグラインドとは刃の両側面が凹面のカーブを描く様に研がれたものだ。刃が軽量化でき、なおかつ研いですり減ってきてもしばらくは刃の厚みの変化が少ないため、使い心地が変化しにくいという長所がある。
グリップエンドのいちばん端の穴には落下防止のロープなどを取り付けられる様になっている。
とにかく他に無い高級感抜群のデザインはインパクト抜群だ。実際にナイフとしての機能性も優れているものだし、持っているだけでなんとなく気分的に面白みが感じられるという、ある種のお守り性やアクセサリー性も備えたアイテムではないだろうか。


デンサン 電工ナイフ (折りたたみ式) DK-670A

2019年6月24日月曜日

多用途に使える電工ハサミ

ケーブルの切断に

第二種電気工事士試験でのFケーブル(VVFケーブル)の切断には、伝統に則ってペンチを使ったり、ホーザンやMCCのVVFストリッパーを使ったり、ケーブルカッターを使ったりと色々な選択肢があるわけだが、そこにはもうひとつ、電工ハサミ(あるいは万能ハサミ)という選択肢もある。

電工ハサミと一般的なペンチとでは、ケーブルの切断の仕方が異なっている。ペンチが2枚の刃を突き付ける様にして押し切るのに対し、電工ハサミは、VVFストリッパーやケーブルカッター等と同様、すれ違う2枚の刃でせん断して切断する。この様にせん断して切断する工具では、一般的なペンチの様に刃を突き合わせて切断するのに比べて握力を必要とせず、かなり楽に切断作業をする事ができる。
同様なメカニズムで切断する工具で有名なものにはホーザンやMCCのVVFストリッパー、スリーピークス技研の電工Fペンチなどがある。一般的なペンチ意外にこういった工具も一本は持っておくと、試験の練習でも本番でも手が疲れにくく、ラクに作業ができるのでおすすめだ。

VVRケーブルの加工に

他に、二種電気工事士試験でさらに電工ハサミが活躍する場面がある。それは、VVRケーブルの介在物(整形用の紙)の切り取りだ。VVRケーブルの介在物はなかなか丈夫な紙の材質でできていて、そのおかげでけっこう切りづらい。めいっぱい拡げてから手でちぎるという事も裏ワザ的には可能だが、試験はかかるしそれほど仕上りがきれいだという訳でもないので、とても良い方法という訳でもない。何らかの工具を使って一瞬でパッツンと切り取れるならばそれに越したことはない。電工ナイフを使って切るにしても、あえて切れ味を弱めにしている人の場合はなかなか切れず、これまた貴重な試験時間のロスにつながり得る。しかもこの介在物が余分にはみ出したような状態は仕上がり的に好ましくなく、除去したシースの端部にできるだけ近い位置で短く切断して、サッパリと仕上げておくのが良い。この介在物を切断する際に、ハサミの様に楽に切り取る事のできるのが、電工ハサミなのだ。この用途に使うならば他の工具と比較してもかなり使いやすく、適した選択肢だ。そもそもVVRケーブルが登場しない年の方が多いわけではあるが、もしも登場する年に当たった場合、電工ハサミを一本持っておけば最強クラスの快適な作業ができると私は思う。

現場で色々役立つ用途の広さ


汎用性の高い工具なので、試験に限らず現場でも幅広く役立つ場面が多い。VVFケーブルのカットやVVRの介在物の切除の他にも、バインド線の切断、PF管の切断、スパイラルチューブの切断、ブッシングの切り込み、ビニルクロスの邪魔な部分の切除、各種の材料のパッケージの開封、少量の細いモールの切断など、様々な切断作業に1本で幅広く対応できる。多くの人は子供の頃から文具のハサミを使い慣れているわけだが、そのハサミの大型なものという事で、親しみやすく、使い慣れやすいのも大きな長所だ。

ストレート刃とR刃


電工ハサミには大きく分けてストレート刃タイプとR刃タイプがある。ストレート刃タイプは一般的には刃渡りが長いものが多く、一般的なハサミの使い勝手に近い。ケーブルの切断や加工の他に、材料のパッケージを開けたりなど様々な用途に使いやすい。これに対してR刃は、一般的に刃渡りが短い。刃渡りが短い分切断点が支点に近いため力が入りやすい。また、カーブした刃の形状のお陰で、ケーブルが逃げにくく、刃が被覆にサクッと食い込みやすい。パワーはそこまで必要ないがマルチな用途に使いたいという人にはストレート刃、あまりマルチな用途に使えなくても構わないのでパワフルな切断力を重視したいという人はR刃を選ぶと良いだろう。
R刃のケーブル切断時のイラスト
R刃はケーブルを逃さずパワフルにカット


製品カタログ

ストレート刃タイプ

アルスコーポレーション 140DX-D

140DX-Dの製品画像


最強とも評されるコスパ。電工のハサミと言えばコレ、というぐらい定番中の定番。安定の高品質をリーズナブルな価格で。

フジ矢 FM04-180N

FM04-180Nの製品画像


電工ハサミはなぜか若干低価格寄りのフジ矢。この価格でもしっかりフジ矢クオリティの切れ味。Φ2.0mm×3芯にも対応。

タジマ バリットバサミDK-BB50

DK-BB50の製品画像


片手でロックのON/OFFがしやすい親切設計。微妙なギザ付きの刃でケーブルが滑りにくく、刃が食い付きやすい。Mバーも切断可能。

DENSAN 電工マルチハサミ MH-8S

DK-BB50の製品画像


キッチンバサミのボスみたいな、まさしくハサミ。親しみやすい外見ながら、VVF2.6×2Cも切れるという実力派。感覚的にも親しみやすい形状。刃のカーブが電線をキャッチして、滑らずに切断できる様に工夫されている。


R刃タイプ

アルスコーポレーション 130DX-D

130DX-Dの製品画像


定評あるアルスコーポレーション製の、こちらはR刃タイプ。ストレート刃タイプよりも太いケーブルの切断に対応できる。

マーベル MMS-833RN

MMS-833RNの製品画像



グリップや刃の形状を、さらにもう一段進化させたような形。全長がややコンパクト。個人的にはこれが現在の最強ではないかという気がする。

フジ矢 FM03-180

FM03-180の製品画像


フジ矢のR刃タイプ。Φ2.0mm×3芯にも対応。フジ矢のR刃はストレート刃同様コスパが高い。