2018年5月9日水曜日

ホーザンP-958とMCC VS-4Aを徹底比較

目次


大きな優劣の差は無い
ホーザンとMCCについて
サイズ
グリップの形
アイコンと目盛りの表示面
板バネの枚数
価格



大きな優劣の差は無い

結論としては両者に大きな優劣はない。機能はどちらも
  • 電線の切断
  • シースの剥ぎ取り(1.6mm2芯/2.0mm2芯/1.6mm3/2.0mm3芯)
  • 芯線の被覆の剥ぎ取り(1.6mm2芯/2.0mm2芯/1.6mm3/2.0mm3芯)
  • ケーブル先端の輪づくり
  • 長さの測定
が可能だ。材質や刃の切れ味、質感にも大きな違いはない。どちらも国内有名メーカーの製品であるだけに、品質は良好だ。どちらかを選んだら失敗する、というものでもなさそだ。細かい違いに注目して厳選するもよし、価格やカラーで選ぶもよし、といったところだ。
 P-958の旧モデルにあたるP-957はP-958よりも少し機能が少なく、そのためVS-4Aと比べても少し機能が少なかった。しかし現行のP-958になってからP-958とVS-4Aには機能上の違いと呼べるようなものはなくなった。P-958が2013年に発売開始されてからもう7年近くも経ち、デッドストックのP-957も見かけなくなってきた。

 ホーザンとMCCについて

ホーザンは大阪市に本社がある、60年以上の歴史を持つ老舗工具メーカーである。電気工事士試験の受験者の間では非常によく知られた有名なメーカーである。電気工事関係の工具以外には、自転車向けの工具や産業用の光学機器など、どちらかというと精密な分野の工具を取り扱っている。このブログにも特集した記事があるので詳しくはこのリンク先を参照して頂きたい。
一方のMCCは、株式会社松坂鉄工所というメーカーのブランドだ。松坂鉄工所は三重県津市に本社のある100年以上の歴史を持つ老舗だ。電気工事士試験でお馴染みの工具といえば、このVS-4Aの他に、ガチャッと握って自動的に被覆を剥ぎ取るタイプのVA栓ストリッパーなどが有名である。電気関係の工具以外には、鉄筋や鉄骨などの躯体工事や、設備工事向けなど、ホーザンに比べるともう少し大きくてパワーのあるものを中心的に取り扱っているイメージだ。


MCC製のVA線ストリッパ

サイズと重量

両者とも重量もサイズもあまり変わらない。
  • P-958 全長225ミリ、210グラム
  • VS-4A 全長223ミリ、220グラム
だ。両者共通して、必要以上に大きくなく、コンパクトなサイズに多くの機能が上手くまとまっているという印象だ。

グリップの形

全体的には、VS-4Aの方が薄い。そのぶんVS-4Aのほうがコンパクトかというとそうでもない。ただ、MS-4Aにはグリップにツバがありその部分が突出している。P-958にもツバがあるにはあるが小さく、飾り程度のものだ。
握って比べてみた感じでは、VS-4Aの方が薄いにもかかわらず、指へのフィット感が良く、力が幅広く分散する形状になっている。長時間使い続けても指が痛くなりにくい。逆に、P-958はグリップのラバーに厚みがあるにもかかわらず、特定の部分へのアタリの強さを感じる。たくさん練習をしている時など、指に早く痛みが来そうな気がする。この点ではVS-4Aの方がよくできている様に思う。
そしてVS-4Aには上に書いた通りツバがある。工具を使って作業している間は、ツバがちょうどよい引っかかりとなって機能し、握るときに定位置を決めやすい。しかし、腰袋やホルダーに収納する際には、少々邪魔になる事もある。このツバで止まってしまうため浅く差し込む事しかできず、落下しそうな不安がある。それでいて、うっかり何かをぶつけた衝撃などで、ツバの部分までもホルダーや腰袋にめり込んでしまう事もある。そうすると必要な時にすぐに取り出せない。ツバの存在は、メリットでもデメリットでもある様に思う。ツバの存在自体は残して、形状を変更するなどすれば、VS-4Aが一歩リードできる気がする。

アイコンと目盛りの表示面

どちらの製品も刃の用途がひと目見て分かるように、シースや芯線のアイコンが記されている。そして線の長さを測れる様に目盛りが付いている。それらの描かれている面に違いがある。VS-4Aはアイコンも目盛もすべて片方の面にだけ描かれている。 P-958では両面に分散して描かれている。
受験者には、けっこう、ケーブルストリッパーの目盛りを活用している人が多いのではないかと思う。私自身もそうだ。
個人的には、片面に全ての情報が集約されているVS-4Aは、どちらの面に目盛りが描いてあるのかが一目瞭然で、「なにか書いてある方」を見れば迷わずに目盛りが付いている面を見ることができる、というものだ。これが地味だけれども、便利で、優れたモノづくりだと感じる。一方のP-958は、「目盛りの描いてある方を見ようと思ったら、裏側でした(チクショー)」というトラップに引っかかってしまう事があり、なにげにイラッとする。これは、細かい事だけれど、確実に弱点だと思う。
多くの人はそんなに気にする事ではないかも知れないが、私の個人的な事を言うと、この違いのせいで、ちょっとだけVS-4Aの方が好きだ。

板バネの枚数

VS-4Aには2枚の板バネが、P-958には1枚の板バネが付いており、握りを緩めると刃が自動的に開き、連続した加工作業に便利である。両者とも、板バネによって刃がガバッと大きく開くわけではなく、線の抜き差しがちょうどしやすい程度に少し開く程度である。見た目には結構違って見えるが、使ってみると使用感の違いはあまりない。

カラーリング

P-958は青のグリップで、VS-4Aは黒のグリップだ。持ち物のカラーリングを統一すると落ち着くという人も居れば、他の工具との見分けが付きやすいように、カブらない様にする人も居ると思う。品質や機能にそこまで大きな違いがないので、カラーリングを決め手にして選んでも良いと思う。

価格

価格も両者とも近い金額だ。おそらくアマゾンでは相当な数が売れており、多くの業者が熾烈な価格競争をしているのだと思うが、お互い同士比較して高くなったり安くなったりを繰り返している。「買おうと思った時に安い方を買う」という買い方でも良いと思う。


ホーザン P-958

MCC VS-4A